2026/07/22 10:13



木村さくら初の商業誌コミックス
『濃藍アパートメントの猫』第1巻が7/22(水)発売となります。

わたしが漫画の道を歩きはじめて約10年になります。自主制作(ぼくと先輩)から商業誌連載(濃藍猫)へ移行しても、作品世界は同じで、わたしの信念も地続きです。わたしの人生で自然発生し、編まれていった物語の、いったんの結実を皆さまにお渡しします。

発売情報、原稿展示もある書店フェアの詳細はこちらをご参照ください。
少年画報社公式 
https://www.shonengahosha.co.jp/book_Info.php?id=11380
書泉グランデ/ブックタワー
(書泉2店同時に異なるページ各10枚の原稿が展示されます。必見。ぜひお越しください)

以下は長いよもやま話になりますので、お時間があるかたはお付き合いください。

『濃藍猫』コミックスは電子版が同時発売ですが、ぜひ紙の本を手に入れてください。
理由は表紙だけで3つあります。

①美美のお守り
よりによって発売日は折しも大暑の頃ですが、主人公猫の美美(ビビ)は蒸かしたてのシウマイみたいにホカホカな毛並みをたたえ、街角にたたずんでいます。
美美の微笑は本を手にした皆さまへの優しいまばたき(猫の親愛表現)として描きました。本をお持ちになることで、あなたさまのお守りがわりになればと思いました。

②アパートメントの色
深い藍色のタイルが本作の舞台「濃藍アパートメント」の装いです。表紙でこの色を目にしてから項をめくると、物語へ入りやすいのではないか。カバーから作品世界への導入が始まっています。
作画的余談:日本の色「濃藍」そのものではなく、通称北斎ブルーと呼ばれる「プルシャンブルー」を採用。日の光を受けた美しい青を求めました。

③ブックデザインは関善之氏
関氏は漫画本装丁の王道をゆかれるデザイナーです。たぶんうちの父(平野甲賀)の描き文字よりも広く国民に浸透しているタイトル字をお描きになったかたです。
わたしは相変わらず手描き水彩で、波打つバサバサとした原画を関氏の事務所へお預けしてしまったのですが、世にも美しいカバーへと磨きあげていただきました。
関氏と練った装丁のあらましは、いまは亡き平野甲賀もあの世からひと口噛んでいたりと長い話になりますので、また別の機会に⋯。


ここまで本の、物としての価値の話になりましたが、「濃藍猫」の物語と絵柄はあなたさま自身で思い思いに受け取っていただきたく存じます。
物語は読者さまあってこそ多面的に存在し、拡大するものです。

最後に一層熱をあげて言いたいのは、この本奥付に記載がある制作側の皆さまへの感謝と尊敬です。

担当編集者の村岡さんとは数奇な出会いを経て、仕事をご一緒するながれに乗りました。彼女は熟練の漫画編集者。わたしの茫漠とした想像世界において、猫にピントをあてるアイデアを授けてくださいました。テーマを絞ったはずなのに、沢山の描くべきディテールを発見し続けて現在も連載は続いています。

コミックス制作の諸作業ではもうひとりの担当編集者、常山さんに大いにお助けいただきました。書店フェア原稿展示に近場くんのページを滑り込ませていたのは彼女です。紙の原稿なので、展示の際にせりふの写植貼るという、現代の編集者らしからぬ作業をさせてしまいました(ありがとう)。

編集部と言えば、見事な紙類激盛り机のイメージがあります。少年画報社のグランドキャニオンの主は取締役編集担当の筆谷さん。いつもハキハキ朗らかにお話してくださいます。諸先生方の貴重な原画を見せていただく機会があって、わたしもますます手描き原稿を追求したくなりました。
(手描きは、現代ではもはや異端なのかもしれませんが、作家が心と頭そして身体をつないで描いた絵、そこに生命があるのは確かです。わたしは生命の芸術を見たいのです。)

本になるまで、世に出るとき、未知のこれから。たくさんのかたが関わってくださっています。
これまでほぼひとりで執筆から出版、営業までやってきたので、周りのかたに支えられる有難さが骨身にしみます。

そしてここまでお読みくださったあなたさまに感謝申し上げます。
わたしの物語であなたさまがゆっくり休めたり、力を得たり、愛を見出してくださると信じています。
いつの時も、ありがとうございます。

2026年7月22日 木村さくら