2025/08/17 18:20

ブックデザイナーとの仕事一覧

■平野甲賀 「チョコレートコスモス」恩田陸/著 2006年 「サマードレスの女たち」アーウィン・ショー、小笠原豊樹/著 2016年 「きもの自在」鶴見和子/著 2016年 「カンディード」ヴォルテール、堀茂樹/著 2016年 「平野甲賀と」平野甲賀/著 2020年 ■吉良幸子 「聞かせてください、あなたの仕事」インタヴュー集/2021年 「まわる、まわる」小豆島移住PR誌/2022年 「水牛のように」八巻美恵/著 2022年

以下これまで画家として関わった本をピックアップしてご紹介します。
本の内容については長々してしまいますので自粛いたしまして、デザインされた当時のことなどをひとこと書き添えるのみにします。

平野甲賀デザイン

平野甲賀は花「チョコレートコスモス」を知っていただろうか。
あのベルベットの質感をした花びらを。
わたしの画は銅板のエッチング。卒業校に出戻りして工房で刷らせてもらった。

大切な古典。わたしの小さな読書経験のなかだけでも、文学評論はもちろん哲学書にもたびたび現われる。
知っていてよかった本。そんな想いになるとはつゆ知らず、当時のわたしはカンディード氏に花を一輪手渡したのだ。

父、平野甲賀は「浮き立つブルー」を持っていた。
ピンクや黄色のわたしの画に、誠実な青い文字を乗せた。



吉良幸子デザイン

並べるとかわいかったので二冊同時に。
これまで装丁のために画を描くことはなく、わたしの日々の呼吸で生まれたグラフィティ(らくがき)を、デザインに組み入れてもらってきた。
吉良さんのデザインでは、じぶんの画がデザイン内を漂う「素材のひとつ」であると感じ、チームの感を楽しめた。

そして吉良文字のことにも触れたい。
自著「にまいめはん」のタイトルは出会って間もない吉良さんに描いていただいた。
このレトロな和みの文字は確実に、現行の拙作「濃藍アパートメントの猫」へとつながっている。


これからわたしには、作家として装丁をとらえなおす転機が訪れる。
あまり多くの物を見ようとせず、これまでの装画の歩みをふりかえってみた次第です。

ありがとう。ここまで読んでいただけて嬉しいです。

木村さくら