2024/04/08 14:42

「水平思考」がみなさまの元へ届き始めました。わたしはこれから、この本にまつわることを書いていこうと思います。


本の発売日だった昨日は、父方の墓所である生田春秋苑へ行きました。ひとりで。おそらく40年近くたっての再訪です。
兄からLINEで「このへん」とピン付きの航空写真をもらい、しばし区画を探し回り、「平野家」の墓を見つけました。

着いた途端、わたしはなぜか号泣してしまったんですよ。ひとりで行ってよかったな。


水をかけたらお話できると思ったので、少し掃除して、お墓に入っているお三方を呼びました。
素敵なお名前なので声に出して「Kおじいちゃん、Tおばあちゃん、Hおじちゃん、さくらです」と言いました。

会ったことがない祖父、祖母と、おぼろげな記憶のなかの叔父です。


わたしは「ちょっと、裸足になってもいい?」とことわって、素足になり、しばらく墓前の石段に座ってぼんやりしました。

夏のような日差しとひんやりした墓所の空気。線香と新芽の、とてもいいにおい。

桜がほんのすこし花びらをちらし、うぐいすはしきりに歌を練習していました。


入間の山の中にある木村のお母上方ご先祖のお墓は、毎年末かならず訪ねます。
清浄な空気がすがすがしく、真冬の枯れ野は格別に美しいのです。昨年は辺りの風景を写真に撮っておきました。
「水平思考」表紙の自然はこの、入間の風景を素材にして描きました。
わたしが行った場所は近場くん、遠久野さんも見た景色です。



 
「いや~我ながら、パンクだな」と思うのは「水平思考」装丁についてです。
大体すべて手描きなのです。
表紙の絵、絵とつながっている巻タイトルの部分、いつもの「ぼくと先輩」ロゴ、裏表紙の「点点」ロゴ。
帯もです。
これは色指定の印刷ではなくて、オレンジ色のグラデを水彩で描き、フルカラー印刷をしてもらっています(帯印刷は京都のグラフィックです)。
そしてことば“ぼくらを見つめる「愛」とは―。”これも、手癖たっぷりの殴り書きです。
裏面には(いつものように)鳥が飛んでいます、鉛筆で描きました。


AI生成時代に反抗する我がアナログくそ野郎っぷりは、本が完成し関係各位へ進呈する段階で明るみに出ました。
さわやかな風を装っても、実は根底に憤怒を内包する、パンクな一冊が生まれ出たなと。わたしらしいやないの。


そんな、パンクD.I.Yルーツの著者の手描き原稿と最新デジタル技術を擁する美術印刷のかけ合わせについて、実際どのような作業を経て本と成ったのかを、次回以降書きたいと思います。また読んでください。